穏やかな看取りのために:15の事例で学べる介護のポイント


本書は、介護されるひとが精神的に穏やかでいられるような介護のポイントを15の実例に基づいて紹介します。著者は、福祉行政にたずさわったあとケアマネとして長年、施設で経験を積み、退職後には居宅介護支援事業を始めた方で、本書にも現場の声が息づいています。

なにより惹かれるのは実話に基づく15のエピソードで、「死が近づくと、こんなことも起こるのか……」とびっくりしたり、納得したり。「人間」というものの理解に近づけそうです。

エピソードのそれぞれには、「ケアマネの視点」として専門家の立場からのコメントや理論の紹介もあり、認知症や介護の現場の実情、そこでの具体的なアドバイスも豊富です。

目次

1.白寿の祝い──老衰と看取り
2.初孫を抱きながら──心配性の方への配慮
3.透ちゃんは良かったね──医療の方針の自己決定
4.団らんのひと時①──長く生きる悩みへの受け答え
5.団らんのひと時②──こだわりの理解、反りが合わない時
6.陽が昇り陽は沈む──死に対するスタンス
7.小学校の卒業生名簿──回想のもつ力
8.社長報告──外出サービスの実施
9.キュウリもみ──ラポール(信頼関係)の構築とコミュニケーションの技法
10.ポンスケだから──頻繁な物忘れとナラティブ・アプローチ
11.シャント交換──介護現場における予定変更の困難
12.心臓が止まった──恐怖心の理解とニーズ概念
13.目、見えないから──財産管理が難しくなった時
14.むすんでひらいて──準拠集団に思いを馳せる
15.母ちゃんが枕元に立った──非合理な事柄と向き合う

全編、優しい目線と落ち着いた物腰が伝わる文章で、安心して読めます。じわじわと染みるような読後感。
介護の時代におすすめの一冊です。

著者略歴
内田勝久(うちだ かつひさ) 昭和28年北海道生まれ。法政大学経営学部卒業。北海道大学大学院法学研究科法学政治学専攻修士課程修了。長く福祉行政に携わったのち、主任介護支援専門員、社会福祉士、精神保健福祉士として働く。平成26年、居宅介護支援事業所サンカヨウを開設。

内田貴士(うちだ たかし) 昭和58年北海道生まれ。社会福祉士。工学修士。成年後見センターかたくり所長、うちだ社会福祉士事務所所長。

ISBN 978-4-9908508-5-2
B6判 224頁
定価 1340円(税別)
2018年6月9日発行

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