新たな国民病とされる精神疾患、現代の作家への影響力、地方在住の作家への熱い眼差し、英語俳句等、文豪漱石を新たな視座から幅広く論ずる。

夏目漱石研究は、英語教師である著者のライフワークとなり、すでに数冊の本を上梓している。膨大な現代 作品の中から漱石の影響が顕著な部分を抽出するという地道な仕事に著者の漱石への愛情が感じられる。
病跡学への誘い、現代作家論・地方の作家との交流、俳句英訳など、これまでの著者の漱石研究の幅がさら に拡がった注目作。

著者略歴
伊藤美喜雄
国立大学法人山形大学農学部非常勤講師、山形県立産業技術短期大学校非常勤講師。英語教師から山形県立博物館館長、公立高等学校校長を経て現職。

《目 次》

はじめに

第一部 現代に生きる夏目漱石

第一章 漱石の狂気の謎と死生観
1 作家とうつ病・精神病
2 漱石の 「狂気」 の謎と「精神疾患」
3 漱石の「ひきこもり」「 躁うつ病」「幼児・児童虐待」「DV」
4 漱石と「胃潰瘍」
5 漱石はなぜ自殺しなかったか? 死生観

第二章 漱石の先見性と現代性
1 漱石の生涯と作品 先見性
2 文明評論家 漱石の現代性
3 人生の助言者
4 漱石の収入と財産
5 現代作家への影響と論評
6 世界の文豪へ
7 「吾輩がロボになる」

第三章 漱石と村上春樹
1 村上春樹の生い立ち
2 村上春樹の作家活動
3 村上春樹作品の特徴
4 丸谷才一の村上春樹評
5 村上春樹の生活・趣味・嗜好
6 漱石と村上春樹の男女三角関係作品
7 『こころ』と『ノルウェイの森』の類似性・
8 文体と視点の比較など

第二部 夏目漱石と庄内の文人たち

第四章 漱石と庄内の文人たちとの関わり
1 庄内地方とは?
2 漱石と高山樗牛と田澤稲舟
3 漱石と斎藤信策
4 漱石と羽生慶三郎校長
5漱石と阿部次郎

第五章 漱石と丸谷才一
1 丸谷才一の生い立ちと生涯
2 丸谷才一の学生時代
3 丸谷才一の教師時代
4 丸谷才一の文学活動・作品
5 丸谷才一の文体
6 丸谷才一の挨拶文学
7 評論家・随筆家・書評家の丸谷才一・
8 丸谷才一の俳句
9 漱石と丸谷才一

第六章 漱石と藤沢周平
1 藤沢周平の生い立ち
2 教員時代の藤沢周平
3 記者時代の藤沢周平
4 作家藤沢周平
5 漱石と藤沢周平
6 藤沢周平を高く評価する丸谷才一
7 藤沢周平の俳句

第三部 夏目漱石と俳句・Haiku

第七章 漱石と俳句
1 俳人子規と漱石
2 高浜虚子と漱石
3 俳句的小説『草枕』
4 漱石と京都

第八章 英語俳句・Haiku と漱石俳句の Haiku
1 英語俳句・Haiku
2 漱石俳句の Haiku

あとがき