君もガリレオになる:『新科学対話』(動力学):落下運動を図形幾何で解き明かす

物理・数学・科学史を好きなひとに向けた本。

ガリレオは最晩年、力学の問題に取り組み、時代を切り拓く成果を上げます。今回紹介する『君もガリレオになる』は、このガリレオの動力学をなるべくオリジナル(原典)に近い形で現代に蘇らせよう、という画期的な本です。

原典は『新科学対話』ですが、とても読みにくい本です。なぜというと、物理の話であるのにここでは数式が書かれずに、ぜんぶ文章で解説されているからです。また、耳慣れない用語も頻繁に使われています。そこに数式と図を添えて解説を付したのが『君もガリレオになる』です。

そもそも、ガリレオの時代には、微積分もなく、デカルトから発展する記号代数学もありませんでした。では、どうやって動力学を解くのか?──幾何学と比によって、です。「時間」や「力」を図形の辺の長さに置き換え、その比を読み解いていくことで求めるべき数値を出します。

『君もガリレオになる』では、デカルト的な記号と数式は用いますが、幾何と比による解法は、ガリレオ自身の使った手法を再現しています。

けれども、実はこの本を理解するには、高校数学のレベルで十分です。原典の難解さは、発想と解法が現代から見ればかえって新しく、ユニークだという点にあるのです。だからこそ、物理、数学、科学史の好きな方には、ガリレオ流の力学をタイムマシンに乗るように存分に楽しみ、遊んでいただきたいと思います。

著者略歴
大島隆義(おおしま たかよし) 同志社大学工学部電子工学科卒業。名古屋大学大学院理学研究科博士課程修了。米国ロチェスター大学研究員、東京大学原子核研究所助手、高エネルギー物理学研究所助教授などを経て、名古屋大学大学院理学研究科素粒子宇宙物理学専攻教授。理学博士。現在、名古屋大学名誉教授。主著『自然は方程式で語る─力学読本─』、『電磁気学読本─「力」と「場」の物語─(上下)』(ともに名古屋大学出版会)ほか。

ISBN 978-4-9908508-4-5
A5判152頁
定価:1352円(税別)
2018年4月7日発行

中澤博之写真集『遊山 Excursion』

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