日録 森川雅美第五詩集

東日本大震災を経て戦後の詩歌を考え直す意欲作。
福島へ毎年訪れ、追悼式や映画・公演に足を運び、現地の声を聴き、自分なりの言葉を発しまとめる
ことができたと著者が述べるほどの自信作である。コロナ後も言葉の模索は続いている。
推薦文、栞の文を作家の加賀乙彦氏が担当。

著者:森川雅美
1964年1月生まれ。
「詩歌梁山泊(詩客)」代表
著書に『流れ地形』、『くるぶしのふかい湖』、『山越え』、『屋明け前に斜めから陽が射している』
(すべて思潮社)

作家・医師 加賀乙彦先生による推薦文

森川雅美よ、我が友よ。

「うち側の道のりは
誰にも知られずに沈む」
詩人の表現が何を言いたいのか、わからない、そして分からぬまま読み進まねばならぬ、そして、段々に「わかってくる……」のが面白い……、そんな詩句だ。
そして「老朽した光る塔」が「もう火にさらすな」と出る。「そんな危ない塔は取り払え」、という命令になる。あ、「原子の塔」かな? と読者は思う。
「そうだ」と納得する。
読んでいるうち、詩句は韻をふみだす。「く」のつく詩句がつづく。面白いね。「くくくくく」 そのつぎに、韻ではなく流されていく海のような表現だ。
海、空、家、など? 「きみ」が苦労する、そして「語られる」これ以上は「何も説明しない……」 そう。詩の「中身」は「自分の力」でお読み下さい。
「註」を読みなさい、原発、2500人の行方不明者。
「後記」をものにした理由。自由詩の人たちとの「付き合いを減らし、福島の現地訪問」、そしてコロナウイルスの時代まで「とどいた」と、ある。
おお、詩人よ。友よ。あたらしき日が来つつある。詩集よ。さちあれ。母音だらけの日本語の美をよろこべ。

令和2年9月30日より発売  弊社、Amazonにて発売中。
A5版・並製110頁 定価:税込1650円(税率10%)

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