書籍紹介 近藤節夫著『八十冒険爺の言いたい放題』よりインドネシア

インドネシアの惨状とマスコミ

著者は1967年正月早々にインドネシアを訪問し、貧困と治安の乱れを目と皮膚で感じたという。
まさにスカルノ大統領(当時)失脚前夜とも言うべき時期。歴史の目撃者としての記述は興味深い。
本書の記述にスカルノ政権の「化けの皮が矢継ぎ早に剥がれていった」とある。ホテル裏手の路地で白昼人々の目の前で強盗に遭った著者。周囲の人々は助けることもしない。裸足にランニングシャツ姿の男達は座ってただ見ているだけだった、との状況。

秘密でもなんでもない、通りを歩けばわかることを日本のマスコミは報道せず、国策におもねるような報道を重ねたことも記されていた。マスコミの責任もまた重い。
ものの本によれば、50年代までのスカルノは、当代の英雄との印象が強い。第2次大戦中、独立運動に傾倒し、旧日本軍による占領下にあっては日本と協力体制を築き、終戦後は独立戦争とその後の外交交渉でインドネシアを独立に導く。内戦を鎮圧して国家の統一に貢献したとある。

西側諸国との蜜月関係をつくりあげ政治的にも経済的にもインドネシアを第3世界のリーダーにした力量を示した。内にあってはイスラム、共産主義という二大勢力のバランスを取り、外にあっては東西陣営に好い顔をする。一時的な繁栄を誇ったインドネシアが著者の書くような有様になったのだから、為政者の責任は重い。我が国もまた例外でないだろう。

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