新刊 『精神病の苦しみのためのパーソン・ベースド認知療法』

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新刊 『精神病の苦しみのためのパーソン・ベースド認知療法』

●統合失調症の認知療法(CBTp)の大家、チャドウィックの叡智の集大成。
理論はもちろん、苦しみに取り組む為の、事例を用いたユニークな技法の解説も豊富(マインドフルネス、スキーマへの取り組み、脱中心化、メタ認知の習得など)

●あなたのクライエントの精神病の苦しみに、取り組むすべてのセラピストへ捧げる一冊。

人(パーソンら/クライエント・セラピスト)が苦しみの傍らに寄り添い探索するとき、真の自己が現れる。

本書は、統合失調症の認知行動療法の大家(Chadwickら)による新しい治療モデル「パーソンモデル」を用いた治療理論を詳細に論じた著作である。
著者らは、わが国では普及や実践が遅れている統合失調症の精神療法、特に、認知療法に精通しており、現在も精力的に取り組み続けている。
本書の核となるパーソンモデルは、前著「妄想・幻声・パラノイアへの認知行動療法」(星和書店)の「症状中心アプローチ」から大きな発展を遂げた。
そのため、著者はこの精神療法を「パーソンベースド認知療法」と高らかに名付けた。
治療課題の中心はもはや症状の消失や病の治癒ですらない。それは結果としてあり得るかもしれないが、目的ではない。パーソンベースド認知療法が目指すのは、
セラピストとクライエントとのラディカルな協働(無条件に手を携え徹底的に受容して探索する姿勢)を軸として展開する4つの領域・ZoPD(最近接発達領域)を
探索することで得られうる果実である。つまり、「その人が本当の自分(「パーソン」)になる」、ということである。

セラピストとクライエントは4つの領域、症状的意味づけ、内的経験との 関係、スキーマ、象徴的自己という「大地」をラディカルに探索する。ABC分析、マインドフルネス、
二つの椅子技法を実装して……。冒険の宝箱から得られるのは「メタ認知」である。メタ認知をさらに装備し、慎重に、時には大胆に歩き、苦しみの源泉に近づき「発見していく」。
では、「発見」とはなんであろうか。

統合失調症(精神病)の人が、しばしば囚われているといわれる、その人が自分自身だと思い込んでいる固定されて動かない普遍・不変な自己(=ネガティブスキーマや幻聴や
トラウマによって固まり、自律性や愛着が棄損された自己概念)が、真実ではなく「たんなる、自己の体験の欠片である」という気づきである。そして、自分には決してないと
信じていた、ポジティブな欠片も自分の一部であるという発見である。それには、驚きと戸惑いを伴うかもしれない。(これが自分?!)

喜び、楽しみ、嬉しさ、創造性などの源泉となるポジティブなスキーマを受容するのみならず、苦しみやネガティブなスキーマさえも受容する、ダイナミックで、大きく、多彩で、
複雑で、流動的な自己(=真の自己)を手にする。もはや、精神病や症状の苦しみは自分を必ず圧倒する存在ではなくなった。それは苦しみではあるかもしれないが、単に自分の欠片
として受容された。どのように関わるのか、それとも関わらないのかを自ら選択して、どのように人生を進めるのかを決めるのは、自分(パーソン)だ、という場所に、クライエントは辿り着く。

著者:ポール・チャドウィック

バース大学 マインドフルネス&共感センター 教授

販売
令和6年9月5日よりAmazon及び全国書店で取り扱い

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